読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

積読書店員のつくりかた

とある書店員が気ままに書く、本と本屋さんとそれをつなぐ人々についてのつぶやき。書店と読書とイベントな日々、ときどき趣味。

【現行図書カードの発行は2016年6月まで】次世代『図書カードNEXT』で試される書店・出版業界の機動力

業界ネタ 業界ネタ-本屋


今回の記事で取り上げるテーマは、ズバリ「図書カード」。書店と切っても切り離せない話題を取り上げてまとめてみます。

読者の中にも、財布を調べると図書カードが財布に1、2枚は入っている人も少なくないのではないでしょうか。祖父母や親せきからもらったお子様、懸賞でゲットしたお母さん、好きなアイドルのカードを大量買いしたお父さんなどなど、そんな方もいらっしゃることと思います。

その図書カードが生まれ変わることはご存知でしょうか。

図書カードNEXTに生まれ変わります

画像の絵柄一覧に載っている通常柄10種類に加えて、最近では柴犬、ワンピース、進撃の巨人といった限定柄も発売され、話題になったので覚えてらっしゃる方もいるハズ。ちなみに調べてみると、限定柄シリーズ第1弾は「とっとこハム太郎」でしたw 懐かしい。

また、冒頭の例えで申し上げたように、コミック誌などの懸賞のプレゼントにも利用され、子ども会でのプレゼント、知り合いや親族への入学祝や卒業祝など子どもさんたちへの贈答品ニーズも少なくありません。

現行図書カード一覧

図書カードの今後

書店には欠かすことができない、この現行『図書カード』が今年2016年で発行停止になることをご存知でしょうか。

あらやだ「停止」って使えなくなっちゃうのかしら、さぁ大変……と思ったそこの、奥さん!

ここでいう「発行停止」とは、図書カード販売が停止されることであって、図書カードを使って支払う「利用」は継続されますので、ひとまずご安心ください。 図書券の販売が停止した今も、ご利用はいただけるのと同じ流れですね*1

そもそも現行図書カードがプリカ方式なのは、メリット・デメリットの双方あります。

  • メリット・・・・残額の目安がすぐ分かる
  • デメリット・・・磁気不良によるエラーで使えないことがある
  • デメリット・・・金額固定で追加ができない(ので枚数多いと利用側「かさばる」書店側「オペレーションに時間を要する」)

図書カード&クオカードのペアくらいでテレカは廃止されて、利用できる公衆電話も少なくなり、また交通系プリカも電子マネーへと取って代わられている昨今に「『なぜ』、『いまごろ』磁気式のプリカ図書カードから移行するのか」という感想も出てきそうな状況ですね。

(もし現行図書カードが磁気エラーだったときは)
読取りエラーについて | 全国共通図書カード

ガラリと変更される影響を、特に業界関係者の皆さまにおかれましてはいかがお考えでしょうか。

図書カードの利用状況

次世代図書カードの行方をご紹介する前提として、現行図書カードをザックリ振り返ってみましょう。

当ブログ恒例の脇道に逸れますと、実は図書カード自体が単語として普及していない世代もあります。それは例えば、ご年配層を中心に発せられる定番フレーズ「図書券ありますか?」というもの。

その場合、「図書カードをご用意いたしますがよろしいでしょうか?(というより図書カードしかありませんが…)」というお答えくらいしかできないのですが、意外や意外、このやり取りを私も週に1件は見かけているような……という程、途絶えることがありません。

いまだにこのような「図書券」という認識が散見されるのは、日常的に本屋に行かない人の割合が少なくないからだと、私は常々思っております。そして図書普及の広報が下手すぎるのではないか疑惑。

図書カードとは

そもそも1960年の図書普及発足、図書券発行開始から、お釣り問題などを経て、2006年からはプリカ方式に完全移行します。ご存知「図書カード」です。

1990年12月より発行が開始された。プリペイドカードになってつり銭の処理が不要なため、従来の図書券に代わって主流となった。この名称は日本図書普及株式会社の登録商標である。大きさは86×54mmで、上部に残額の目安の指標が印刷されており、パンチ穴が開けられる。通称「図書カード」。

全国共通図書券 - Wikipedia

図書カードの発行高・利用高の推移

上記推移のグラフ*2は、『出版指標年報』が毎年公表している「出版物販売額*3」と比べるみたところ、落ち込みはほんのちょっぴりですが緩やか。

おおまかに言うと、書店売り上げに占める図書カード利用割合は、5~10%ほどでしょうか。約十数人にひとりくらいのお客様が利用されている訳です。これが年齢が下がるにつれて、利用率が高まっている印象です。

高いとみるか、低いとみるかの見方は別れるでしょうが、経験上クレジットカード利用よりも図書カード利用の方が多い点を考慮すれば、「図書カードの利用ニーズは依然としてある」というのが実情だと思います。

(豆知識)図書カードの不思議ある書店Aで図書カード1,0... - Yahoo!知恵袋

次世代図書カード導入へ

そして数年前より、図書普及が研究会を立ち上げて、練りに練ったプランがこちら!

QRコードを使用する次世代図書カードは、書店店頭でインターネット回線を利用してカードの引き落としができ、利用者はサーバー管理された残高をパソコンやスマホで使って確認できるもの。 (2014/6/17)

【新文化】 - 日本図書普及、サーバー管理型「次世代図書カード」に移行

2015年秋には、従来の磁気カードからネット経由する「サーバー型カード」に移行していく計画も発表した。

新文化 - 出版業界紙 - ニュースフラッシュ関連ページ

日本図書普及は(中略)2015年秋から、図書カードを、インターネット経由のサーバー管理型に移行することを発表した。

日本図書普及、図書カードシステムを2015年サーバー管理型に / メディア産業の総合専門紙-文化通信:ニュース総合

このように、いままでカード自体の「磁気データ」自体に残額を入れ込んでいた方式を次世代図書カードでは「サーバー型」にすることが昨年先行公表されていました。それは評価いたしましょう(若干の上から目線?)

そして具体的な「方式」の中身と「導入の流れ」がアナウンスメントされました。

今夏から新読取機を一部の書店に導入してテストを重ね、本格導入を目指す。QRコードを使用する次世代図書カードは、書店店頭でインターネット回線を利用してカードの引き落としができ、利用者はサーバー管理された残高をパソコンやスマホで使って確認できるもの。これまで書店は、取次会社から仕入れた段階で、その代金が請求されていたが、次世代カードでは、販売時に店頭で有効化処理を施した分だけが請求の対象になるため、資金面でメリットがある。
新たな読取機は、旧図書カードと次世代カードの両方を読み取ることができるもの。来年より順次、入替作業を行っていく。

【新文化】 - 日本図書普及、サーバー管理型「次世代図書カード」に移行

2016年6月から次世代カード「図書カードNEXT」の運用を開始する予定。書店にある読取り機は今後、1年をかけて交換。新読取り機の設置は順次開始しているが、書店でのネット環境が条件になる。来年6月から旧カードの発行は停止する。

【新文化】 - 日本図書普及、図書カード発行高583億円で4年ぶり増加

 ちなみに、昨年8月の時点で呼称を「図書カードNEXT」と決めていたようで。

図書カードNEXTに変わります

図書普及が重い腰を上げて公式サイトに関連ページを追加していたいのでリンクを張ります。正直僕のこの記事の方が情報くわし……(以下ry

図書カードNEXTと現行図書カードの比較表

では具体的にどのように変更されるのかを、図書普及さんのお言葉をお借りして内容紹介いたしましょう。

名称 図書カードNEXT (現行)図書カード
材質 紙(コーディング) PET素材(ペットボトルと同素材)
サイズ 86.0×54.0mm 86.0×54.0mm
額面金額 500・1000・3000・5000・10000の額面金額表示あり
使いきり(チャージ不可)
500・1000・3000・5000・10000の額面金額表示あり
使いきり(プリペイド)
絵柄 ピーターラビット・絵画シリーズ・他 ピーターラビット・絵画シリーズ・他
カード裏面表示

品名・品番・流通番号
ID番号(16桁)・PIN番号(4桁隠蔽)
QRコード(取引用、残額確認用)

品名・品番・流通番号(記号番号)
カード裏面 f:id:fiblio:20150716061437p:plain f:id:fiblio:20150716061449p:plain
有効期限

約10年の有効期限を付ける
(在庫期間を考慮し12年先の日付印刷)

無期限に有効*4
読み取り方式 QRコード 磁気(情報の書き換え)
残額保持 残額管理サーバー カード自体に磁気で記録
残額確認方法

店頭の読み取り機で確認
カード裏面のIDとPINを入力することでWEB上での確認が可能
(使用後パンチの穴が開かない)

店頭の読み取り機で確認
カード媒体にパンチされる穴の位置で大まかな残額を確認

『書店経営2015年7月号』(トーハン)より一部筆者加筆修正

気になるポイント

上記の表を、議論の俎上にしてポイントを列挙すると、特に以下の4つが気になるところです。

  1. 有効期限10年
  2. 通信トラブル
  3. 取引形態(買い切り*5
    その後、取引形態がこれまでの図書カード同様に「買切」となるので「有効化」は必要ない模様
  4. 店舗オペレーションがより煩雑になる可能性

店舗オペレーション

みなさま、図書カードをご利用になる際に、書店員がどのように処理しているか気になりませんか?笑

まずは動画がようつべに上がってましたのでそちらをご紹介。

www.youtube.com

このように、POSレジ導入のチェーン店舗であっても、図書普及さまからのありがたいレンタル*6によって、レジ入力とは別に図書カードの金額を打ち込むわけです。

学生時代にコンビニでバイトをしていた身としては、「なぜコンビニのクオカード方式を取らないのか」は書店に入った当初より疑問ですが、図書普及さまの成り立ちからして当然と言えば当然なのですね。

 

f:id:fiblio:20150722121654p:plain

www.toshocard.com

そして、どうしても気になるのが、今後「図書カードを図書カードリーダーで読み込んで、有効化すること」が必要になる方針。これは大量に販売した時に、(有効化は不要になりましたが、制度変更することでの)オペレーション上のミスや(NEXTになることやシステムのお客さまへのご説明のため等によって)レジに要する時間がかかりすぎるようになるのではないかと懸念しております。

おまけ

いまの図書カードが廃止されて懸賞系はどうするのか。そう心配される方もおいでだと思いますが、おそらく通常通り。アマギフのように、番号+QRコードで使えるので簡単にメールで通知送信できるようになると思われます。

図書カードNEXT記事まとめ

使いやすくなるかどうかは未知数。

図書カードへの取り組みは、出版・書店業界が示す読書スタイルの提案でもある(特にWEBを使わない層にとって今回の方式はハードルが高くなり得る。)。

書店の負担を重くすることなく、読者に使いやすい方式に改善されていくことを望みます。

*1:まぁ今後も未来永劫使えるかどうかまでは私も保証できかねますが……。

*2:日本図書普及の決算より筆者作成

*3:取次ルート基準なので書店以外での販売額も入っている

*4:利用が停止されるまで

*5:当初の消化仕入(本でいうところの委託方式。書店が販売した時点での清算)はどこにいったのか……。「これまで書店は、取次会社から仕入れた段階で、その代金が請求されていたが、次世代カードでは、販売時に店頭で有効化処理を施した分だけが請求の対象になるため、資金面でメリットがある。」【新文化】 - 日本図書普及、サーバー管理型「次世代図書カード」に移行

*6:「無料」とは言ってない