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積読書店員のつくりかた

とある書店員が気ままに書く、本と本屋さんとそれをつなぐ人々についてのつぶやき。書店と読書とイベントな日々、ときどき趣味。

11月10日放送のアメトーク『読書芸人』 第3弾で取り上げられた本をまとめてみた【随時追加】

 

待ちに待った、待ちに待ち続けた、待望の『読書芸人』企画が再び!放送されたので、勢いに任せて、ツイッターでのテキスト速報を中心にまとめます。
ぜひぜひチェックしてみて下さい。随時個別のリンク等も追加していきます。

『読書芸人』第3弾あらすじ

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アメトーーク!カズレーザーが「読書芸人」に、若林や又吉、光浦と書店へ - お笑いナタリー

1年5か月ぶりという、久しぶりのアメトーク『読書芸人』の第3回企画。

内容は、笑いを含めつつも、オススメ本のタイトルを挙げて、これでもかという数を紹介してくれました。あまりにタイトル多くて、後半は録画をひたすらリピートする必要があるほど最初のメモが役に立ちませんでした(苦笑)必死に再生と早送りと巻き戻しボタンの格闘……。

 

まず、出演陣はアメトーークのメインMCである、雨上がり決死隊の宮迫さん蛍原さんお2人。また前回と同様に、お笑いタレントであり、『火花』の芥川賞受賞で大先生の仲間入りを果たしたピース又吉直樹さん、そしてオアシズ光浦靖子さん、オードリー若林正恭さんの3人。さらに、きっての読書家として名を馳せ、先日「お願いランキング」でのオススメ本5冊が好評だったメイプル超合金カズレーザーさんが新加入。

この4人と一緒に、ファッションモデルとして読書に関するインタビューもされている池田エライザさんもロケに参加。

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(企画の内容)

前回と同じくオールロケで、最初のロケ地はデザインの洗練された空間、代官山蔦屋書店さんからスタート。蔦屋での「オススメ本」紹介は、4人がそれぞれ5作品の合計21作品(又吉さんだけ6作品w)。

つぎに、本屋のポップの見方や4人の本棚も公開。それから、三省堂書店神保町本店さんに移動して、カズレーザーさんによる『本屋の歩き方』トーク。さらに『本の雑誌』編集部にお邪魔しての質問タイムという中盤は怒涛の流れ。

最後に『読書芸人大賞』として、4人がそれぞれ2冊ずつを厳選し、そのエントリーされた8作品の中から「大賞」を選ぶという企画もありました。8作品の中で2016年の大賞に選ばれたのは、果たして…!!?

多くのタイトルが紹介されていますので、気になる1冊をぜひみつけてみてください。前回の記事と同様に、書店員用の備忘録としてもお使いいただけます。

【前回のおさらい記事】

 

4人がオススメする本

新メンバーのカズレーザーさんは年間200冊を読んでいるそうなので*1、個人的にも期待大。各人のオススメをご紹介しますご紹介します。ちなみに、宮迫さんが「ちゃんと読んだことがあるのは『アンネの日記』だけ」なのは変わっていないとの発言もw

見どころは、紹介の尺を巻きたい蛍ちゃんと、4人の攻防です(笑)若林さんがナオコーラ先生の『美しい距離』を紹介している時にさりげなく差し替えられた『世界のキレイでかわいいカエル』にも注目!

代官山蔦屋書店では、読書芸人のオススメ本特設コーナーが1か月間できるとの予告も。前回紀伊國屋書店新宿本店で開催されたときに反響が大きかったとツイートもありましたので、代官山でも同じことが起こるのではないでしょうか。

ピース又吉さんがオススメする5+1冊

光浦さんがオススメする5冊

オードリー若林さんがオススメする5冊

メイプル超合金カズレーザーさんがオススメする5冊

本屋のポップ、本屋の歩き方

 

4人とMC2人は、それぞれ1万円でどんな本を買った?

ピース又吉さんが1万円で買った本たち

光浦さんが1万円で買った本たち

オードリー若林さんが1万円で買った本たち

メイプル超合金カズレーザーさんが1万円の予算をオーバーした本たち

雨上がり決死隊蛍原徹さんが1万円で買った本(雑誌)たち

雨上がり決死隊宮迫博之さんが1万円で買った本たち

本の雑誌社に訪問

 

読書芸人大賞

ノミネート

大賞受賞作品

そして『読書芸人大賞』 の大賞受賞作品は…(じゃかじゃかじゃか)

 

 

ツイッターで実況していたものを中心にお送りしますが、またのちほど個別のリンクや他に取り上げられた作品も追記していきたいと思います。

約1年半前の第2弾ではアフィをいれずにがんばったのですが、この春の地震で家と本棚が壊れて以降はamazonアソシエイトのリンクとさせていただいております。あしからずご了承いただければ幸いです…*2


なにはともあれ、リストだけでも参考になれば嬉しいです。さらなる読書の一助になれば…!!

 

関連記事

*1:最近は忙しくて週に2、3冊とのこと

*2:といっても、ひと月に文芸書単行本か新書買えるかほど…カラーBOXで代用している“本棚”はいつになったら再興できるのか…涙

本読みの人が、熊本と熊本の本屋を支援するための6つの方法

業界ネタ 業界ネタ-読書

早いもので、熊本地震の発生からまもなく2か月が経とうとしています。最近は報道も少なくなってきた印象が否めません。

先日、幹線道路を久しぶりに通っていたら、一度行ったことのある飲食店が、悲しいことに閉店していました。その付近にも、ガソリンスタンドや小売店も多数ありますが、休止中のお店は少なくありません。

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そして、県内でも、当然のことながら、まだすべての店舗が営業を再開で来ている訳ではありません。

本屋も同様です。営業再開にこぎつけたお店が増えてきた一方で、建物にダメージを受けたためにすでに取り壊された「金龍堂東バイパス店」さんや休業中の書店(リストをのちほど掲載します)があります。

いまだ営業再開が叶わない店舗に勤める店員さんはどれほど辛い思いをしているのでしょう。接客業を愛してやまない小売業の友人は、「お客さまと会えない状況がもどかしいし、寂しい」とぼやいています。また別の友人は、「(ハローワークにも人が溢れかえっていて)仕事を探しているがなかなか見つからない」と嘆いていました。被災のために、泣く泣く失業した知り合いもいます。

仕事がある現状がありがたいのだと言い聞かせる他ありません。

記事公開のきっかけ 

今回、 空犬さんがまとめて、日々更新いただいている下記記事を拝読して、ぜひ現地から地震発生後の本屋の状況についてお伝えしたく、記事を書きはじめました。

また報道が少なくなってきた現状で、引き続きお願いしたい支援先を紹介したく願っております。この記事では、休業中の本屋さんリストと気にかけていただきたい支援先リストも掲出しておりますので、熊本の方にも各地の方にも参照いただける記事になればと嬉しく思います。

⇒(リンク先)空犬通信 熊本の本屋さん【更新】

熊本県内の本屋における、休業店舗の一覧

まず、地震による被害状況などは新文化の参照に情報を整理すると共に、関係先リンクを掲載しました。特に、大型ショッピングモールに入店している店舗を中心に被害が大きくなっているようです。

⇒(記事リンク先)【新文化】 - 〈熊本地震〉書店の被害・運営状況

ただし、熊本県内における書店の休業店舗をすべて網羅できている訳ではありませんので、その点はあしからずご了承ください。

また、もし追加や訂正の情報等をご存知の方がいらっしゃいましたら、コメントやツイッターなどでお声掛けいただければ幸いです。

営業中の書店については、出版取次協の『日本出版取次協会|平成28年(2016年)熊本地震』ページと書店マスタ管理センターに掲載されている『熊本県書店営業情報』等の公開情報が参考になります。

休業中の書店一覧リスト

地域名 書店名 HP/SNS 被災状況
熊本市中央区 金龍堂まるぶん店 blog
Twitter
建屋壁面に亀裂。入店不可。
熊本市中央区 くまざわ書店くまなん店 会社HP 店内入店不可。
熊本市中央区 TSUTAYAAVクラブ帯山店 店舗ページ  
熊本市東区 TSUTAYAAVクラブ御領店 店舗ページ 什器倒れ。
熊本市東区 金龍堂東バイパス店 会社HP 建屋壁面落下(建物損壊)。入店不可。
(5月下旬に現地を確認したところ、建物は解体取り壊し済みの上、更地に)
熊本市南区 紀伊國屋書店熊本はません店 店舗ページ スプリンクラー作動、商品水濡れ、ゆめタウン被害あり。
営業再開未定(11月頃再開予定との報道も(*1。)
熊本市西区 TSUTAYAAVクラブ田崎店 店舗ページ 天井一部崩落、ガラス割れ、分電盤崩壊、
非常灯外れ、排煙窓閉まらず、什器全て倒壊、入店不可。
熊本市 明林堂書店サンピアン店 店舗ページ 棚倒壊はなし、商業施設(サンピアン)営業中止。
復旧に数ヶ月要(11月頃再開予定との報道も*2。)
宇城市 蔦屋書店小川町 店舗ページ イオン側入り口天井崩落、入店不可。
上益城郡 蔦屋書店嘉島 店舗ページ 什器倒れ多数、壁面什器転倒。
(お盆明け以降の営業再開を目標にしているとの情報も)
菊池郡 ブックガーデン大津   ショーケース・棚転倒、入店できない。

皆さまに応援をお願いしたい、6つの支援方法と支援先

まず支援先リストを、掲げる前に知っていただきたい本屋のフェアがあります。

「九州・熊本の本を売りたい」。そんなコピーを掲げ、熊本地震にみまわれた現地在住の作家の本や、地元出版社の雑誌などを集めたフェアが、大阪市の書店で開かれている。(略)大阪市北区の紀伊国屋書店グランフロント大阪店の真ん中に4月下旬、熊本県のキャラクター「くまモン」のイラストをあしらった特設コーナーができた。熊本在住の作家石牟礼道子さんの小説、評論家渡辺京二さんの歴史書など、熊本に関連する本や雑誌100種類以上が並ぶ。
(中略)
紀伊国屋書店の山本さんは「書店のフェアが何かの役に立つのか、正直迷いもあった」と話す。今月上旬に売り場で、熊本から大阪に一時避難しているという女性客から「気に掛けてくれて、ありがとう」と声をかけられた。「自分の立場でできることをやればいい、と迷いが消えました」

「熊本の本売りたい」 書店の支援フェア、各地に広がる:朝日新聞デジタル

大阪発信の“本”を通じた支援のかたち。それは、なにかをしたいという書店員の方の思いから結実した一つの方法です。“熊本”と意識したうえで、その関係する方々の本を手に取っていただくこともひとつの支援なのだと思います。大阪や名古屋、東京にお住まいの方はぜひとも紀伊國屋書店グランフロント店さん、七五書店さん、青山ブックセンターさんでフェアを拝見いただくことを願っております。

このフェアのおかげで、作家・漫画家さんの名前も各種上がっています。『ONE PIECE 1 (ジャンプ・コミックス)』の尾田栄一郎先生が熊本出身だと今回初めて知った方も少なくないのではないでしょうか。

前フリの説明が長くなりましたが、ようやくタイトルの本題に入ります。長らくお待たせしました。

それでは、ようやく支援するための方法6つ(+α)をご案内します。それぞれの団体の活動に興味を持った方は、それぞれのリンク先で支援をしていただくことを切に願っております。

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熊本に関連する写真集を手に取ってみる

熊本地震を記録した写真集等は現在3点が刊行されています。復刻アサヒグラフから写真集と、下記の熊日新聞社からの報道写真集、読売新聞社の新聞濃縮版です。いずれをお買い上げいただいても、収益の一部は熊本地震に対する寄付につながります。

現状をご覧いただくことで、どれほどの地震の衝撃だったかを確認できるタイトルとなっています。九州以外では本屋の店頭に無い場合もあるかと思いますが、東京では店頭に置いていただいている書店さんの情報もあります。

お近くに無い場合には、よろしければネット経由でも構いませんのでお手に取っていただければ幸いです(ぜひそのときは、可能ならば後述する金龍堂まるぶんさんを支援するためにe-honもご利用いただければ嬉しいです)。

また、ネット書店では販売していないけれども、阿蘇の現状を伝える写真集も作られました。私は、長崎書店さんで買わせていただきました。阿蘇の山が被害を受けている様子や、各地区の甚大な被害を写真によって伝えておられます。通販もされておられるようで、また写真展も企画されています模様です。

詳細等は下記Facebookページから確認いただければと思います。

熊本地震で傷ついた故郷の南阿蘇村を撮影し続ける写真家長野良市さんが、惨状を訴える小冊子を発行した。売り上げの一部を復興支援に充て、既に1500部を販売した。第2弾の発行に向けて準備を進めている長野さんは「地元観光の復興を支える息の長い取り組みにしたい」と意気込んでいる。小冊子は「ゼロの阿蘇Vol・1」のタイトル。
(中略) 
一般社団法人「九州学び舎」が1部500円で販売。うち200円を復興支援のために寄付する。

阿蘇の今、写真で発信 地元の写真家・長野さん小冊子発行 [熊本県] - 西日本新聞

九州を応援する出版社「伽鹿舎」を応援する

九州の本屋を応援するために、「九州限定」流通という試みに果敢な挑戦をされている伽鹿舎(かじかしゃ)さんは、熊本にいらっしゃる代表の方を中心に活動をされています。

伽鹿舎の出版は、営利目的ではありませんから、これまで絶版になっていた本、採算がとれないからと見送られてきた本の出版にも積極的に取り組んでいきます。

» 『片隅』や『伽鹿舎』を応援する || WEB文藝誌 片隅-かたすみ- 伽鹿舎

非営利ということもあり、今回の地震では少なからずダメージを受けて、今後の刊行がこれまで通りのスケジュールで行えるか不透明な部分もあるそうです。資金面でも、特に文芸読みの人には、ぜひとも伽鹿舎さんへのご支援をお願いできればと願っております。下記リンクをご参照ください。

営業休止中の「金龍堂まるぶん」を支援する

先日、久しぶりに動向が熊日で報道されたまるぶんさん。そのシンボルで、熊本中心部の上通りにある河童像が無事だったというニュースは、熊本県民としても1つ胸をなで下ろした出来事です。

熊本市の上通アーケードで「かっぱの本屋さん」として親しまれている老舗書店「金龍堂まるぶん店」が、熊本地震で被災し、長期休業している。再開は早くても8月下旬になりそう

シンボル かっぱ像、奇跡の鎮座 被災の上通の老舗書店 - 熊本日日新聞

そのまるぶんさんは、前半に掲示した休業一覧に入っている通り、まだ営業を休止しておられます。そのまるぶんさんを支援する方法があります。

それは、出版取次トーハンが運営する「オンライン書店e-hon : 本 コミック 雑誌 通販」というサイトがあります。通販ができると同時に、全国のトーハンから出版物を下してもらっている書店を中心に、店頭受け取りも可能なサイトです。

全国どこでもまるぶんで本が買える
【e-hon】という泣けるサイトがあるのです。

e-honはアマなんとかや楽○ブックスと同じネット書店。
自宅にいながら本が買え、自宅で受けとれるというのはほぼ同じですが、このサイトには大きな特徴があります。

利用者はそれぞれMy書店を選び、その書店から買う(あくまで形式上ですが)こととなります。
店頭で受け取りはもちろん、お客様の自宅に宅配(税込1,500円以上は送料無料)したときも、売上の一部はそのMy書店に入ります。

つまーり!
そのMy書店を「金龍堂まるぶん店」にして本を買っていただければ、震災で休業中の金龍堂さんに売上という支援が届くのです!!
泣けるなー、コレ!
宅配はもちろん日本全国対応!これぞ神対応!

地震の影響が残る間だけでも、Amaなんとかをちょっと控えて【e-hon】で本を買ってみる。これもある種の復興支援♪

 

(存じ上げる方のご投稿を、ご了解いただき、筆者一部修正の上で転記)

営業休止中で、店頭受取ができない金龍堂まるぶんさんですが、リンク先の「e-hon 本/金龍堂まるぶん店」に飛んで、ご登録されて、自宅にネット通販で本を購入すると、お休みされているまるぶんさんに売り上げの一部が入るというものです。

amazonでの購入も便利で手軽ですが、急ぎではない本やコミックを、e-hon 本/金龍堂まるぶん店」経由で購入して、休止中の本屋さんを支援する方法もある。ということをご存知いただければと思います。

南阿蘇で頑張る「ひなた文庫」を応援する

 阿蘇の裾野を行く南阿蘇鉄道にある日本一長い駅名の駅「南阿蘇水の生まれる里白水高原」の駅舎にある素敵なロケーションと風景に囲まれた「ひなた文庫さん」。

ご存知のように南阿蘇鉄道は一部を除いて、開通しておりません。その影響で、ひなた文庫さんもいまだに、本来活動されておられた駅舎の中で営業を再開することができていません。

今回、いますぐ支援の方法をお伝えすることができかねますが、近日イベント開催を計画されておられ、またネット経由で販売する方法も検討されておられるようです。

支援するための具体的な方法が、確立次第、またご案内差し上げる予定です。

地震に負けない、児童書専門店「竹とんぼ」を応援する

阿蘇の西原村に児童書専門店『子どもの本の店竹とんぼ』さんがあります。

熊本地震で被災した熊本県西原村小森地区の児童書専門店「竹とんぼ」が、地震後も営業を続けている。児童書専門店の先駆けとして、熊本に店を構えて35年目。突然襲った地震で店への主要アクセス道路は寸断され、来店客はほとんどいない。それでも店主の小宮楠緒さんは「子どもたちに一つでも良質の物語を届けたい」と前を向く。

児童書店、地震に負けるもんか 西原村の小宮さん、道路寸断、来客減でも営業継続 - 西日本新聞

こちらは絵本や読み物を取り揃えた本屋さんであると同時に、読み聞かせや地元紙への寄稿、県内書店の児童書担当者に対する啓蒙なども行っておられます。店主の方の「子どもたちに読んでほしい」という思いが伝わる、存在感のあるお店です。

その竹とんぼさんがある西原村は、地区によって集団移転の話が持ち上がっている場所です。今後の営業をつづけるためにも支援が不可欠だと思われます。支援のために、関係者の方が作られたオリジナルTシャツの販売が下記サイトで行われています。

Tシャツの利益分は、すべて竹とんぼへ寄付します。
書店は地域の文化です。子どもの本の専門店は、子どもたちの未来を拓く灯火です。その火を絶やさないためにも、どうかご賛同、ご購入のほど、よろしくお願い致します。

読書環境や漫画資料の保存に関係するNPO2団体の活動を支援する

熊本県内で、読書や漫画に関する活動をしている団体が2つあります。

熊本子どもの本の研究会

熊本子どもの本の研究会

子どもさんへの読み聞かせ、絵本についての講習会、会報誌には谷川俊太郎さんも寄稿しておられるなど読書環境を向上するための活動をされています。地震後に更新がされておられませんが、今後の活動継続ができることを願っております。

熊本子どもの本の研究会 会員募集

熊本漫画ミュージアムプロジェクト

漫画読みの方は、『金魚屋古書店 1 (IKKI COMICS)』という作品を読んだ方もいらっしゃるかと思います。この漫画の単行本で巻末コラムを書いておられ、モデルとも言われる古書店の元キララ文庫を経営しておられた橋本博さんが中心となって設立された団体です。

漫画家さんとのつながりもあり、湯前まんが美術館にも協力されるなどネットワークを生かして、熊本県内の自治体や図書館と連携したイベントを企画されています。将来的には、漫画資料をアーカイブとして保管したり、県内に漫画ミュージアムを建てるために活動をされていらっしゃいます。

今回の地震では、数十万冊に及ぶコレクションを保管する倉庫も被害を受けるなどしておられます(上記写真は被害の一例だそうです)。現在は、被災した地域にいる子どもたちに向けて、マンガを直接届ける移動図書館の設置を支援しておられるようです。また、ボランティア募集やマンガ及びマンガ関連資料の寄贈を募っておられますので、ぜひ確認してみてください。

NPO法人熊本漫画ミュージアムプロジェクトHP - kuma-man ページ

コレクションしたくなる「くまモン柄」の読書グッズで熊本企業を応援する

くまモン頑張れ絵のハッシュタグを始め、復興に向けたシンボルにもなってるくまモン。本読みの方が、本を保管するうえで嬉しいアイテムをご紹介します。こちらは、熊本市内の企業がネット販売しているアイテムです。

くまモンブックエンド

くまモンの形やサイズに合わせて、ブックエンドが4種類あります。

熊本企業が運営・販売している応援。1個からでも送料無料で、かつギフト用にも発送していただける神対応なお店なのでぜひ利用してみて下さい。

さいごに

ご紹介した支援の方法をご参考に、ぜひともそれぞれのお店や団体さんに温かいご支援をいただくことを願っております。

まだまだ日常は簡単には回復しませんが、揺れも比較的収まってきて、普段の生活は落ち着きを取り戻しつつあります。引き続き、皆さまのお気遣いに甘えることなく頑張ってまいります。

報道は少なくなっておりますが、いろいろな形で、ときどき熊本のことを思い出してもらえれば嬉しいです。永くなりましたが、以上、熊本の現場から、積読書店員がお送りしました。

次回更新は、前掲の写真に載っている熊本関連本を中心としたご紹介の記事を予定しています。

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(関連リンク)

営業再開された長崎書店長崎健一さんのインタビューが掲載された「善き書店員」に関する記事があります。

わが人生の「教科書」井上靖『あすなろ物語』を再読して甦る青春の記憶

読書メモ 読書メモ-小説

誰にとっても、その「一冊」が人生を変える可能性がある。

本は出合いである。人生のターニングポイントで、ふと手にした作品によって運命を変えられることもある。私は書店員として働く中で、「人生を変えた」とまでは言い切れないまでも、「目の輝きが変わった」人に出会ったことは幾度もある。

目の前に分岐したルートを、小説が、エッセイが、コミックが、児童書が、ビジネス書が変えてしまうことがある。

フラグが立っていた。これは、あとあとになって分かることが多い。けれども、(本だけに限らず)手に取った、出会った、見かけた、赴いた瞬間に対象物が輝いて見える場合がある。

いわゆる「一目惚れ」である。

お城と翌檜の木の如き大木

私には青春を変えた小説がある。本作も一目惚れであったと記憶している。

その小説とは、井上靖『あすなろ物語』。井上靖の自伝的小説と言われるが、ここで「自伝『的』」としたのはおそらく井上自身をモチーフにしながらも、相違点も数多くあるからである(井上の半生とのリンクは後述する)。

芥川賞を受賞した『猟銃・闘牛 (新潮文庫)*1』、映像化された『氷壁 (新潮文庫)』、歴史小説『敦煌 (新潮文庫)』や大河ドラマにもなった『風林火山 (新潮文庫)』 あたりと並んで井上靖が執筆した小説の中でも人気のある作品である。新潮文庫の中でも売り上げ上位に入ることから、読書感想文のために購入した方が少なくないのではなかろうか。

そして、なにを隠そう、私もそのうちの一人であった。(ただ、なぜか読書感想文に「どのような内容」を書きなぐったか覚えていない……ので、本当に感想文を書きあげて提出したかどうかは怪しいところ(苦笑))

あらすじ

本作は、主人公「梶鮎太(かじあゆた)」の幼少期から青年壮年期までの青春を巡る小説である。物語の冒頭から登場する「冴子」が作品前半における鮎太の女性観を形成し、引いては物語全体のテーマをも左右することになる人物である。

鮎太と祖母りょうの二人だけの土蔵の中の生活に、冴子という19歳の少女が突然やって来て、同居するようになったのは、鮎太が13になった春であった。

「深い深い雪の中で」

構成される6編ごとに時代が移り変わり、また舞台も静岡、福岡、東京、大阪と様々な都市(と思われる場所)が登場。それぞれ女性たちや友人、好敵手との関わり合いが描かれ、また登場人物が行き交う連作短編のような形式となっている。一方で、主人公の半生を時代順に辿っていく構成の流れでもあり、6章に分かれた一つの小説でもある。それぞれの話を登場人物と共に簡単に挙げてみる。

  1.  「深い深い雪の中で」
    梶鮎太(13歳)が祖母りょうと土蔵で過ごした小学校時代。
    (主な登場人物)
    ◎おりょう(戸籍上の祖母)梶家先代当主の妾、鮎太を郷里にて預かる
    ◎冴子(さえこ、祖母の姪)19歳、女学校生徒
    ◎加島(大学生)温泉旅館伊豆屋に宿泊している東京の大学生。鮎太に「克己」という言葉を教えてくれる
    ◎鮎太の父(13代目梶家当主、軍医)陸軍に仕官しており、各地を転任する
  2. 「寒月がかかれば」
    鮎太(中2)が渓林寺に居候して「神童」と呼ばれていた中学生時代。
    (主な登場人物)
    ◎雪枝(渓林寺住職の娘)女学校卒業したての体育会系女子。「お寺のお雪」と呼ばれ、男子顔負けの豪傑として近所でも有名。
    ◎山浦(同級生)なにかとよからぬ噂のある生徒
  3. 「漲ろう水の 面より」
    鮎太(大1)が九州の大学に進み、恋慕する人を追いかけ東京と行き来する大学生時代
    (主な登場人物)
    ◎佐分利信子(未亡人)旧家に嫁いだのち夫に先立たれる、貧乏嫌い・派手好き、美貌の持ち主、鮎太は彼女に「翌檜でさえない」と喝破されることになる
    ◎英子(信子の義妹)20歳、声楽家志望
    ◎貞子(信子の義妹)18歳、絵画の才能がある

    木原(高校時代からの友人)工科学生、義妹たちの家庭教師
    ◎大沢(同じく友人)法科学生、容姿端麗な青年
    ◎金子(同じく友人)農科学生、なにかと裸体になりたがる
  4. 「春の狐火」
    鮎太が一流誌R新聞社の社会部記者となり、老記者と交わる中での学ぶ日々
    (主な登場人物)
    ◎杉村春三郎(ベテラン記者)通称お祭り春さん、最古参だが半ば窓際族、専門は神社仏閣の催事等、物腰は柔らか、のちに大阪から岡山に転出することになる
    ◎清香(春さんの末妹)美人とは言えないが可憐で気立てのいい娘
    ◎山岸大蔵(社会部部長)巨漢で威圧感のある
  5. 「勝敗」
    鮎太が好敵手と熾烈な取材合戦を繰り広げる脂ののった記者時代
    (主な登場人物)
    ◎佐山町介:鮎太のライバルL新聞社の敏腕記者。以前鮎太が見知った女性と縁のあることがのちに分かる
  6. 「星の植民地」
    (主な登場人物)
    ◎犬塚山次(研究者)鮎太の高校のときの同級生。医学専門(今で言う文化人類学と思われる)。
    ◎熊井源吉(闇屋)45歳、髭を生やして厳つい風貌から熊さんと呼ばれる。終戦直後に出会った女性と結婚し、汁粉屋喫茶店を開業。(鮎太曰く)戦後の「翌檜第一号」
    ◎オシゲ(不良)熊さんの営む店に出入りする娘

 あすなろの意味

あすなろの木

ヒノキ科に属する植物として有名なった言葉ではあるが

明日は檜(ひのき)になろう。明日檜、翌檜。

という願望も籠った命名だとする説は本書によってさらに広まったとされる。

物語の最初に出てくる作中表現はどちらかと言えば、マイナス方向のイメージから始まる。“軽蔑”、“哀れさ”、“暗さ”、“恐ろしさ”、“悲しさ”という表現が用いられているように「報われない努力」という意味で翌檜を例えているように見受けられる。

鮎太はいつか冴子が家の庭にある翌檜(あすなろ)の木のことを

「あすは檜(ヒノキ)になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ」
と、多少の軽蔑をこめて説明してくれたことが、そのときの彼女のきらきらした眼と一緒に思い出されて来た。

「深い深い雪の中で」

ただ物語後半には「明日は檜になろう(翌檜)」、イコール「なにものかになろう」・「明日に向かって懸命に頑張る人」という意味で用いられるようになっていく。

それは第6編「星の植民地」の中で迎えた終戦にも関係する要素になっている。それまでの表現で翌檜減っていった中ではあったが、戦争も終わり、皆が前を向いてがむしゃらに生きようとする描写は、物語全体が終幕に向かうにつれて明るい気持ちにさせてくれている。

井上靖の半生とのリンク

文庫での公式プロフィールは

旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。

となっているが、新聞記者として主人公を登場させる等、井上の略歴とリンクする部分も少なくない。例えば、医師の家系に産まれ、戸籍上の祖母に育てられ、大学で九州に向かうシチュエーションは、自らのことであろうし、自伝的と言われる所以である。

個人的には、自らを投影させている人物がもう一人登場しているように感じるのであるが、その人についてはぜひ作品を手に取ってご確認いただきたい。

1907年(明治40年)5月6日 - 北海道上川郡旭川町(現在の旭川市)に軍医・井上隼雄と八重の長男として生まれる。井上家は静岡県伊豆湯ヶ島(現在の伊豆市)で代々続く医家である。父・隼雄は現在の伊豆市門野原の旧家出身であり井上家の婿である。
1908年(明治41年) - 父が韓国に従軍したので母の郷里・静岡県伊豆湯ヶ島(現在の伊豆市湯ヶ島)へ戻る。
1912年(大正元年) - 両親と離れ湯ヶ島で戸籍上の祖母かのに育てられる。
1914年(大正3年) - 湯ヶ島尋常小学校(後の伊豆市立湯ヶ島小学校。現在は閉校)に入学。
1921年(大正10年) - 静岡県立浜松中学校(現在の静岡県立浜松北高等学校)に首席で入学
1927年(昭和2年) - 石川県金沢市の第四高等学校(現在の金沢大学)理科に入学。柔道部に入る。
1929年(昭和4年) - 柔道部を退部、文学活動を本格化。
1930年(昭和5年) - 第四高等学校理科を卒業。井上泰のペンネームで北陸四県の詩人が拠った誌雑誌『日本海詩人』に投稿、詩作活動に入る。九州帝国大学法文学部英文科へ入学する。

井上靖 - Wikipediaより(赤字は筆者による)

本書を巡るエピソード

さて、井上の半生とリンクする本作であるが、再読してみて受けた影響を私の歩みの中にも見つけることができた。本書に惹かれる理由を強調しておきたい。

  • 女性観
    井上の描く女性によって、女性に対する向き合い方が形成されたといっても過言ではない。
    まず、冴子や雪枝のような気の強い女性に魅力?を感じることが少なくない。口調はキツめであるけれど、内実は当人のためを思って優しさの裏返しとして突き放される行為に妙な嬉しさを感じる(変なカミングアウトになっている気もする)。
    その上に、さきほどの2人に信子も加えた、作中によく出現する肌の白い女性に対する憧れのようなものは井上のおかげで脳内に刻まれている。対比として描かれるオシゲもまた輝いているのではあるが。
    昔から付き合った女の子はたいてい気が強くて、色の白い女性が多かったような……。

私にとっての青春の一冊ではあるが、「青春時代に読んだ本」という意味ではない。むしろ「(青春期に手に取ってから)幾重も読み返した作品」である。自分が手に取った時の年齢によって、「こんなにも読後感は違ってくるのか」と思う程に興味が尽きないことが私にとっての本書の最大の魅力である。

そして読後に感じることは、私の女性観はやはり井上靖(敬称略)の筆の進みっぷりのおかげで形づくられたということ。

再読したあとに起こった出来事

冒頭に掲げた写真を見て、翌檜の木でも檜でもなく、ましてやお城とはどういうことだ。と訝しんだ方もいらっしゃることであろう。

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再掲した上記写真は、実は地震発生前の熊本城と天守閣から眺めることのできる眼下に佇む一木を写したものである。

私は熊本に住む書店員である。現在、電気を除くライフラインが止まっている中ではあるが、本に救われた事実をどうしても記事に書きたかった。

本記事の大部分は、地震の前に書いていたのだが作中の中にある表現でどうしても自分への叱咤激励として書いておきたい場面があった。

どうしてもどうしても公開したかった理由がそこにある。

 

『あすなろ物語』には、このような描写がある。

この○○○○を超えて行かねばならない。己れに克って人生を歩んで行かねばならない。中学に入って、沢山本を読まねばならない。

「深い深い雪の中で」(伏字○○○○は筆者による

あらゆる人間の営みは絶望的であったが、そうした中に於てもなお人間は生きなければならない、生きることだけが貴い、そんな感情の昂ぶりだった

「春の狐火」

明日は何ものかになろうというあすなろたちが、日本の都市という都市から全く姿を消してしまったのは、B29の爆撃が漸く熾烈を極め出した終戦の年の冬頃からである。日本人の誰もがもう明日と言う日を信じなくなっていた

「星の植民地」

明日どうなるかは分からない。いまを生きることすらありがたいと思う。あの日、地震の揺れが少しでも違う瞬間に起きていたら、私がいまこの記事に追加して公開できていることすら叶わなかったかもしれない。

けれども、過去をどう意味づけするかは、これからをどう向かっていくかは自分自身で決められる。井上の使った「克己」という表現ではないが、自分には勝つことができる。

そして、私は井上の描く「翌檜」となるために明日も信じられない今も乗り越えていきたいと思う。生きなければ。

本書の表現と共にもうひとつ。映画『亡国のイージス』で真田広之が言った「どんなにみっともなくてもいい、とくかく生きろ」という台詞が繰り返し脳裏で再生される。

 

 

今回記事は与えられたお題に沿って、私の「教科書」をご紹介してみた。

あなたの青春の一冊はどの本であろうか。

ゆっくりと本にまつわる話ができる平穏な日々が戻ることを祈ってやまない。

その日が来たら落ち着いたら、またあなたのおすすめの一冊を教えていただきたい。

*1:受賞は表題作のうち『闘牛』によるもの