読書メモ
誰にとっても、その「一冊」が人生を変える可能性がある。ふと手にした作品によって運命を変えられることもある。私には青春を変えた小説がある。本作も一目惚れであった。その小説とは、井上靖『あすなろ物語』。井上靖の自伝的小説と言われるが、ここで「…
拝啓、宮下奈都さま『羊と鋼の森』「人生に影響を与えた1冊」1人の少年(そして青年へと)の歩みを丹念に、かつ表現豊かに掬い上げた成長記録。ピアノという音のする世界を、羊と鋼と森に譬える魔法は心にズシリと響く。私の心に小説として以上に響くカラフ…
はじめに あえて言おう。本書を「新進気鋭」の著者による「渾身」の評論作だと「絶賛」するつもりはまったくない。 書き手としての彼は、「社会」を自在に動き回って、ステレオタイプな表現をぶった切る。鮮やかな切り口、そしてこの切り方は「揚げ足取り」…
数年前に、「擬人化」を駆使した町おこしから、萌え絵付きの特産品まで増殖しているニュースがちらほらと流れていたのを覚えていますが、いま彼らはどうしているのでしょうか(周りであまり見かけないだけ?)。 そんな「擬人化」も、コミックの世界では進化…
初めて佐々木監督の会見を映像で見たとき、なんてお茶目な監督なのだろう!と思うと同時に、こんなにも脱力気味のサッカー監督が日本代表の監督で大丈夫なのだろうか。そう感じた記憶がある。 けれども、本書『なでしこ力 さあ、一緒に世界一になろう!』を…
私は父が嫌いだ。いや、正確な表現で言い直そう。私は、父親が地球上で一番嫌いだ。大嫌いだ。 デカい声。無神経さ。自信過剰さ。無慈悲な行動。家族を顧みないところ。一方自分の趣味にはなにをしても許されるという態度。そのすべてを。 人は親から生まれ…
実写映画化される『君の膵臓をたべたい』は「青春、恋愛、闘病」というジャンルの枠組みを超えた小説。これから読む、すでに読み終えた、感動に浸るあなたも、住野よる先生が作品に込めた「問いかけ」や意味を考えてみてほしい。この記事では5つのキーワー…
ふと気づくと眠っていた。読み始めたころはお昼過ぎだったのに日が落ちている。時計を見ると覚えている時刻からは1時間ほどしか経っていなかった。が、それは長いこと幸せな深い眠りに落ちていたように感じられた。 書店員をしていると、時たま一心不乱に、…